Dysferlinopathy

Dysferlinopathy (ディスファーリノパシー)とはDysferlin遺伝子変異によって引き起こされる筋疾患の総称です。
しかし、Dysferlin遺伝子変異で発症する筋疾患の病名(確定診断名)は表現型別(近位筋優位/遠位筋優位)に分類されています。
その結果、本疾患に関する正確な医学情報の入手が困難となり、社会における本疾患への理解と知識の不足につながっています。
このままでは、患者、その家族、医師、研究者、医療機関、製薬会社、政府機関などの間で混乱が生じることが懸念されます。
現在のところ、Dysferlinopathyは日本神経学会や厚生労働省(指定難病)では認定されていません。

「近位筋優位」
肢帯型筋ジストロフィーR2(Limb girdle muscular dystrophy R2 / LGMD2B)
「遠位筋優位」
三好型筋ジストロフィー(Miyoshi muscular dystrophy / MMD)
前脛骨発症を伴う遠位ミオパチー(Distal Myopathy with Anterior Tibial Onset / DMAT)
遠位前方コパートメントミオパチー(Distal anterior compartment myopathy / DACM)

2021年1月に「Miyoshi myopathy and limb girdle muscular dystrophy R2 are the same diseaseと言う論文が報告されました。
これは「Dysferlinopathyー国際臨床アウトカム研究(COS)」における研究で、JainFoundationが資金提供をして8か国15施設から168人のDysferlin遺伝子異常の患者さんが参加しました。
「論文のハイライト」
・Dysferlinopathy診断の初期にその後に起こってくる筋力低下のパターンを予測することはできない。
・Dysferlinopathy患者集団の筋力低下のパターンは異なる2つのサブグループとはならず、一つのオーバーラップする「連続体
 (その中のどの点を取ってもその近くの領域と明確に区別できないような広がり)」となる。
・三好型はヨーロッパやアメリカよりも日本で一般的な診断名であるが、患者は遠位筋でより筋力低下を示すものではない。
 (参加者全体 LGMDR2:114 MM:54 / 日本 LGMDR2:4 MM:9)
・臨床試験の為に患者をMMとLGMDR2のサブグループに分けるべきではない。

参考)
1.Dysferlinopathy
2.Dysferlinopathies
3.Dysferlinopathies
4. Miyoshi myopathy and limb girdle muscular dystrophy R2arethe same disease
5.The Dysferlinopathies Conundrum: Clinical Spectra, Disease Mechanism and Genetic Approaches for Treatments

「英語」
Dysferlin(ディスファーリン)  Dysferlinopathy(ディスファーリノパシー)
「カタカナ英語」
Dysferlin(ジスフェルリン)   Dysferlinopathy(ジスフェルリノパチー)

Dysferlin遺伝子変異は、Dysferlin蛋白質の欠損や機能低下よって筋細胞膜の修復に障害を生じるとされています。原因遺伝子は、第2番染色体「2p13」に2対あり常染色体劣性遺伝式をとります。もともと骨格筋は、収縮と弛緩をくりかえし常に細胞膜の微細な破綻を生じる状態にあります。この膜の破綻が修復されない状態が長く続くと細胞外からカルシュウムイオンが流入し筋線維の壊死をきたします。これを繰り返すことで、筋萎縮と筋力低下を引き起こします。

筋病理検査で、Dysferlin遺伝子変異の筋細胞には特殊な構造物が無いと報告されていますので筋ジストロフィー(Dystrophy)に分類されます。筋ジストロフィー(Dystrophy)とは、筋萎縮と筋力低下をきたす進行性の病気で病理学的に筋細胞の壊死・再生を主病変とする遺伝性筋疾患です。ミオパチー(Myopathy)とは、広義の意味では筋ジストロフィー(Dystrophy)も含めた筋疾患すべてを呼んでいますが、狭義のミオパチー(Myopathy)では筋ジストロフィー(Dystrophy)以外の筋疾患を総称して呼んでいます。

「筋疾患の定義」
筋ジストロフィー :筋細胞の壊死・再生を主病変とするもの(Dystrophy)
ミオパチー(狭義):筋ジストロフィー以外の筋疾患(Myopathy)

「筋細胞の構造」
筋ジストロフィー :筋細胞に特殊な構造物が無い物(Dystrophy)
*三好型筋ジストロフィー・肢帯型筋ジストロフィーR2(旧 LGMD2B)など
ミオパチー(狭義):筋細胞に特殊な構造物がある物(Myopathy)
*縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー・眼咽頭遠位型ミオパチーなど

注訳

【筋疾患(筋原性疾患)】
筋疾患(筋原性疾患)とは、筋肉そのものに原因があり筋肉が萎縮してゆく病気のことをいいます。筋ジストロフィー(Dystrophy)とは、筋萎縮と筋力低下をきたす進行性の病気で病理学的に筋細胞の壊死・再生を主病変とする遺伝性筋疾患です。ミオパチー(Myopathy)とは、広義の意味では筋ジストロフィーも含めた筋疾患(筋原性疾患)すべてを呼んでいますが、狭義のミオパチー(Myopathy)では筋ジストロフィー以外の筋疾患を総称して呼んでいます。

【前脛骨筋】
前脛骨筋とは脛の前にある筋肉で、主に足の関節を上下させる役目を持っています。

【CK / CPK】
CK / CPK(クレアチンキナーゼ)は、心臓や筋肉の細胞の中にある酵素で正常値約35~210位です。筋疾患などの病気の方で10倍以上の数値が出ますが、健康な方が運動後の検査で示す数値も上昇しますが、2・3日以上経っても10倍以上の数値は出ません。この数値を見る事で分かる事は、筋肉を破壊させる病気の性質(筋肉の障害)が分かります。これは、病気や人により数値の違があります。

【常染色体劣性遺伝】
両方の親由来の遺伝子が共に異常の時のみ発症し、2本のうち1本に異常があっても正常な方が優位に働いて発病しせず(保因者となる)両方とも異常な場合は発病する。つまり、両親が保因者であり、その両親から異常な遺伝子を半分づつ受け継いだ場合を言います。

【常染色体優性遺伝】
片方の親由来の遺伝子だけが異常で発症し、それぞれ2本あるが、そのどちらかに異常があると発病する。この場合、異常遺伝子が子供に伝わる確率は50%となります。また、両親のいずれかは患者と言うことになりますが、病状が軽くて気づかないこともあります。